母性本能目覚める
Chell10ヶ月になろうとしていた矢先、生後29日の男の仔がやってきた。お友達の都合で数日預かることになる。たどたどしい足どりで、母恋しくてChellのお乳を探している。
とまどいを隠せないChellは、逃げるしか手は無かった。
そのうち”クーンクーン”と鼻をならすこの仔に、自分のほうから近づいていき、なんとゆっくり横たわり、好きにさせている。
チビ太は、母だと想い、出るはずの無いお乳を探し当て、一生懸命吸いだした。
不思議そうに困惑した顔のChellは、そのうちチビをなめだした。
まだ初潮さえ向かえてないChellなのに、なんと母親代わりをかって出たのだ。
日を増すにつれ遊びの中から社会化学習をしてくれ、ごはんの食べ方を教えたりトイレのしつけをしてくれたりと、人間顔負けの教育を一手に引き受け、毎日が発見であり驚きであり、この光景は動物のTV番組の中でも、そうそう見られる場面ではない。
自然の摂理というものを目の当たりにして自然に涙が出た。
なんという新鮮で素晴らしい感動だろう。
犬の持つ無限の素質と能力の大きさに、責任の重さを計り知った出来事のひとつでもある。
このあたりから犬を見る視点に変化が表れる。
良い子に育てようと力んでいた自分がちっぽけに見えた。
学ぶべきは私自身のほうだ。
邪心のない無の心、本態のままを表現している姿に脱帽です。

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