Chellとの出会い
私が彼女に決めた理由
何頭かの中からアナタを見たとき、すべての時間は止まった。
「イヤだ。イヤだ。」と言うアナタを、無理やり、この手に抱いた。その瞬間痛みが走った。
ガブリと拒否され、飛んで逃げて行った。
清々しいフランスの山々の匂いと、エレガントな風貌に、ちょっとドラマチックに表現すれば、身体中で脈を打って高まる鼓動をおさえきれない、まるで恋に落ちた瞬間のような夢心地を感じた。
もう私の目は、アナタしか見えない、アナタしか追っていない。幾分か過ぎた頃、彼女も私を意識し始めた。
決して呼んでも来ないプライドの偉く高い子だ。美しい顔立ちといい、耳にかかった緩やかなウェーブ、グレーブラウンのマーキングがより一層、目鼻の色素の濃さを強調している。
まるでフランス人形のような美しさだ。次に彼女を抱いたとき、彼女は無言だった。
自分の運命の行方を、私に託したのだろう。
10年の月日が経った今、彼女がただそこにいるだけで、十数頭のピレニーズたちがまとまり、仲間たちからも心から敬われている。
そんな光景を見ながら彼女の偉大さ、聡明さを再認識させられる、ただ力が強いばかりがリーダーではないことをChellは教えてくれた。
この素晴らしい素質と能力を持った彼女は、私のパートナーでもある。

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